子離れ/親離れ(その五)
月曜日, 10月 11, 2010 at 4:45午後
Naoyuki Maruya

 

しつけの鍵は、「年齢に合った」しつけということです。これがちぐはぐになるとしつけは何倍もの労力と苦労が伴うことになります。今のように犯罪の低年齢化やいじめ、不登校等の問題が急増する中で子育てのお話を頼まれることが多いのですが、聴衆者からの感想でしばしば聞くのは、「もう十年、二十年前に聞きたかった」という言葉です。

そこで私は、「でも、十年、二十年前にこのテーマでお話しても、皆さんは聞きに来なかったでしょうね」と冗談半分で応じると、どーと笑ってくださいます。それは、子供が小さい時は、親はなかなか子育てを学ぼうなどとは考えません。親が間違ってしつけていても問題行動が起こってくるのは随分と後になってからです。私が言う「間違ったしつけ」というのは、年齢に合っていないという意味です。親が子供のためにしていること自体で悪いことは余りありません。ですから親もあえて子育てを誰かから教わろうなどと考えないのです。しかし、子供は年齢にふさわしいしつけを親から受けなければ人格形成が困難です。子供の成長は、周りとの関わりで大きく変わってくるのです。

ある人は、子供は放っておいても育つとか、子供の自由を尊重すればよいと言うかもしれません。又、別な人は、体罰も含めて厳しくしないと子供はとんでもないことになると言うかもしれません。これらのこと自体は、子供の年齢によっては間違ってないないかもしれませんが、その時期が間違うととんでもないことになります。

そこで、これから年齢に合ったしつけのワンポイントを述べたいと思います。

0歳から-か月まで 

この時期の子供に必要なのはまわりからかわいがられてやさしい声を開くことです。この時期は安心感と愛情と温かさが与えられることで子供の精神的・身体的な土台が形成されます。

ですから赤ちゃんのおしめをかえるさいに赤ちゃんが足をばたばた動かしたり、夜中に泣きやまないからといってぱちんとおしりをたたいたりすることは大きな誤りです。この時期の赤ちゃんは親からどうしてこのよぅな仕打ちを受けるのかを理解できないので益はまったくないのです。

しかし、ちょっと泣いただけですぐに抱っこするのはよくありません。赤ちゃんでも学習能力はあるので、泣いてもそのままにしておく場合とあやす場合とのバランスをとるのがしつけと考えてよいでしょう。

 

8か月から14か月 

子供が親の権威をテストするようになるのがこの時期です。しかし多くの親は「1歳の子供がそんなことを考えてはいないのでは」というのです。子供は発達段階の一つのプロセスとして親を試すようになるのです。

たとえば1歳の子供が、ワックスで床をみがいている母親の所に来るとします。滑ると危ないので子供に「来ちゃだめよ」と母親がいうと一瞬、子供は立ち止まりますが、再び来ようとします。これがまさに権威のテストであるのです。ここでもう少し強く「だめです!」といっても子供は逆らって行動することがあります。ここであきらめて母親の所に来させてしまうと親の権威はつぶれてしまい、このようなことを続けると効果的なしつけは困難です。必要なときは確信を持って親に従わせることがこの時期の子供には大事なのです。

 15か月から24か月

この時期に体験したことが、将来の知的能力にいちばん影響を与えるだろうといわれています。ですからテレビを子守役にしてはなりません。生きた言葉の量やあらゆる経験が言葉の発達や社会性を身につけるうえで重要になります。

とはいっても、この時期の子供の最大の特徴は、なにに対しても「いや!」ということです。こういうときは特に男性的な対処が不可欠で、父親の子育てへの参加がいちばん求められます。

そして、しつけを効果的にするにはスパンク(子供の尻をぴしゃりと打つこと)をじょうずにとり入れることです。ただしこれは虐待とは異なりますので子供の未熟な行動から来る失敗に対してはけっしてスパンクしてはなりません。手はなるべく使わないでけがを負わせないように薄いプラスチックの定規等を用いることです。というのは、かっとなるとつい手で強く打つことがありますが、定規を使うとそれを手にする間に少し冷静になるからです。ただし痛くなければ効果はないので、ダメージを与えないで痛みが少し伴う

程度にします。

2~3歳

この時期の子供はいろいろなものに興味を持ち、人前で迷惑になるようなことをする、などと親を困らせます。したがって24か月までに子供が親の権威に勝っていると、この時期は悩まされ続けることになります。この時期は、親が子供に伝えることがあります。それは「私はあなたが大好き。だからあなたが私に従うように私は教えなければならないのです。このことがあなたを危険から守りケアする唯一の方法です」ということです。

たとえば2、3歳の子供に寝る時間を規則的に守るようにしつけるのはたやすくないでしょう。しかし、ここは親の権威を教えるいい機会でもあるのです。子供は寝る時間になってもベッドで休まずにリビングルームに来たりします。親が戻るようにいっても居座ることがありますが、親があきらめてなにもいわなくなると子供は親のいうことを聞かなくなる可能性があります。こういうときは寝室に子供を連れ戻して「今は寝る時間です。もし起きてきたらあなたの脚をピシッとたたきますよ」と強くいいます。それでも子供が

起きてきたら警告どおりのことをして部屋に戻し「お母さんはあなたのことが大好きだからいっているのです。また起きてきたら同じことをしますよ!」といい子供が従うまでくり返します。

4~8歳

この時期にたいせつなことは、子供の行動だけではなく物事や人に対する考え方や姿勢(態度)に対してもきちんとしつけをすることです。この部分にしつけが行き届いていないと、表面上は親に従っていても親の見ていないところでは逆らう行動をしてしまうことがあるので子供の安全は守れません。

そうならないためには、まず第一に親が手本になることです。子供はたえずまねる手本を探しています。いちばん身近にいるのが親です。親の言葉ではなく親の行ないをまねるものです。たとえば、家にお客さんが来たとき、親はお客さんには愛想よくしていたものの、帰ったあとにその人の愚痴をいう、などの態度を子供は見ているものです。

第二に、親が教えたいと思う姿勢や態度を具体的かつ明確に示すことです。たとえば正直、尊敬、親切、愛、人間らしい威厳、従順、責任などです。

9~12歳

この時期になるとスパンク(お尻などをピシャリと打つこと)は最小限にすべきです。ここで重要なことは、自分がした行ないの結果を自分で体験させることです。たとえば、子供の不注意からたいせつなものを失ったとき、子供に買い与えてはなりません。自分のこづかいをためて買わせるのです。そのことによって自分の行動にはなんらかの結果が伴いその責任は自分でとらなければならないことを学ばせます。特にこの時期は思春期に入る前でもあります。ここで学習しないと思春期にいろいろな誘惑があるときに親の目の届かないところで危険が生まれるリスクがあります。

これを読んでもっと早く知っていればよかった、とため息をついている読者がいれば、私は即座に、「never too lateです(決して遅くはありません)」と言いたいです。これからいくらでもとり返しができます。子育てには完全はありませんし、これさえやっていればいいということもありません。それぞれの子供の性格に合った対応が必要で、それも実際にやってみてはじめてわかることもあり、そのときどきにたえず軌道修正をしながら子育てをすればいいのです。

もう一つ大事なしつけのポイントは、「具体的」ということです。子供は、抽象的なことは理解できません。かえって混乱することもあります。(それは次回に)                                                                                                              

Article originally appeared on 丸屋真也・IFM・家族・結婚研究所 (http://www.ifm-soudan.org/).
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