子離れ/親離れ(その三)
日曜日, 3月 21, 2010 at 5:21午後
Naoyuki Maruya in しつけ, 子育て, 子育て, 家族, 家族

十八ヶ月から三十六ヶ月:「ノー」を言う

この年代の子供たちになると、自分の好みや意見をはっきり言うようになります。ですから親の提案に「ノー」ということも多くなります。これは、自立するためには必要なことです。

例えば、子供が母親の焼いたケーキをおやつに出した時、子供が「食べたくない」とか「好きではない」と言ったとします。その時、「せっかくあなたのために作ってあげたのに」と言って、子供に対して、「ノー」を言わせないような対応をするのです。さらに、その後も子供に対してよそよそしい態度をとるとするならば、子供は「あ~、ノーは言ってはならないのだ」と自然に学習してしまうのです。勿論、一回だけではなく、繰り返されるとそうなってしまうのです。

このような子供が大人になると、「ノー」の言える人にはなれません。

三歳から五歳:同一化

男の子なら、父親の背広を着たり、ネクタイをつけたりとか、又、女の子であるなら、口紅をつけたり、お化粧したりすることですが、これらは、この時期の子供たちが同姓の

親に同一化することです。子供たちのこのような行動は、男の子は男性になるために、女の子は女性になるためにどうしても必要なことなのです。

しかし、父親が仕事で余り家族と一緒にいられないため、子供は母親との時間がどうしても多くなります。特に、女の子は母親との時間は充分すぎるほどありますが、父親との接触が極端に少なくなるのも大きな問題なのです。両親とのアンバランスな接触で育った女性が結婚した場合、夫との関係で支配的になり勝ちで、それがうまくゆかないときは、ヒステリックになる傾向があります。それは、父親の存在が子供の衝動をコントロールすることを助けるためで、家庭における男性不在は、女性をヒステリックにするのです。そして、このような夫との関わり方は、自立した関係とは正反対であることは明白ではないでしょうか。

六歳から十二歳:機能バウンドリーの芽

職場ではそれなりの責任をこなしていても、家庭に帰ると何一つしないような夫であるなら、夫は子供時代のこの時期に母親から機能バウンドリーの確立のための適切なトレーニングを受けなかったといえます。機能バウンドリーとは、何かすべきことを自分で計画し、それを実行し、そして、その計画を完成することです。特別に大きなプロジェクトとは限らず、小さなプランでも期限内にやり終える能力のことです。

この時期の子供は小学生ですが、毎日のように宿題、又、定期的に試験などがありますが、母親は子供に対して単にやりなさいと命令して強制的にさせるのではなく、自分で遊ぶ時間と勉強の時間を配分しながら、帰宅後の計画を立ててそれを実行できるようにしつけるのがこの時期のなすべきことです。しかし、機能バウンドリーが確立しないと、“これをしない”とか“ああしなさい”と大学生になっても、いや、社会人になっても小学生にでも接するような態度で対応しなければならなくなるのです。

勿論、バウンドリートレーニングは短期間では無理ですが、その年齢にあったトレーニングを毎日継続して繰り返していくことで始めて確立していくのです。小学一年生であれば親の助けが相当必要ですが、その助けも子供自身が自らできるようにになるという方向でなければなりません。

十二歳から十八歳:親から離れるプロセス

もし、機能バウンドリーがある程度確立しているなら、この時期の中高生は、親から離れるプロセスは原則さえしっかりと把握しておくなら、たとえ少々困難にぶつかっても混乱することはありません。家族学で述べたのですが、日本の家族はどちらかというと、子育ての最終目標を、親からの自立という認識を持っているのは少ないでしょう。ですから、日本の子育ての目標は、子供がどこの学校に入るかとかが中心で、それも、学校の選択が親の希望が大きく反映しますから、親の目標をも果たすという側面もあり、親からの自立というより、親と子の合体とさえいえるのです。ですから、自立するようなトレーニングというのは相当意識しないと、正反対なしつけをしてしまうでしょう。

Article originally appeared on 丸屋真也・IFM・家族・結婚研究所 (http://www.ifm-soudan.org/).
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