« 子離れ・親離れ(その七) | Main | 子離れ/親離れ(その五) »
日曜日
1022011

子離れ・親離れ(その六)

しつけは具体的に!

ある母親が幼稚園の男の子のことで来談しました。ごはんのとき、息子はきちんとすわっておちついて食べようとはしないのです。昼食をひとくち口に入れただけですぐ外に飛び出して遊びに行き、帰ってきたと思ったら「おやつ」とせがみます。結局おやつでおなかがいっぱいになって夕ごはんをあまり食べません。しかっても全然効果なし。でも成長期だからきちんと食べさせたいのですが、ということでした。

このような悩みは幼少児を持つ親に共通する問題だと思います。ここに至るまでなんとかして食べさせよう、きちんとすわらせよう、と必死に努力してきたでしょう。しかし努力はなかなか報われず半ばあきらめているか、どなり散らしているかのどちらかかもしれませんね。

ここでの親の問題は「自分がなにかいえば子供は変わる」となんとなく(無意識下に)考えていることです。ここからは具体的なしつけは期待できません。これはこのケースに限らず子供のしつけ全般に共通する問題ですが、子供の行動を変えるためにはまず親子閑係を具体的に変えなければならないのです。そのためには子供をしかる前に親の態度や行動を変えることが重要なのです。つまり親自身がただ言うだけではなく具体的に変わらないと子供は変わらないのです。子供は親の心を読んでいるのです。

それではどのように子供に接すればいいのでしょうか。

今までは子供が充分には食べないで席を立とうとしたとき、親は子供に対して「食べなさい」とどなり、さらにあとになって子供がおなかがすいたとねだると「食事のときにいったでしょう」と説教しながらおやつを与えていたのでしょう。これは。親の態度は具体的には何も変わっていないのです。しかし、そういう接し方では子供の態度はけっして変わりません。

具体的な改善方法としては、今度は席を立とうとしている子供に「あとでおなかがすくよ」と冷静にかつはっきりといいます。おそらく子供は「もうおなかがいっばい!」というでしょう。そのときすかさず「夕ごはんまではなにもありませんよ」という必要があります。子供は遊びたいので「いいよ、なんにもいらない」と行ってしまうでしょう。ここまでが前半ですが、しばらくすると後半戦が始まりますのでしからないでぐっとがまんをしてください。ここでの対応いかんで真のしつけができるかどうかが決まるのです。

選び疲れたころの夕食前、約束のことなどはすっかり忘れて「ママ!おなかすいた!」といって近づいて釆たときがまさに後半戦の始まりです.今まで説教しつつおやつを与えていたのを今度は与えてはなりません。さらに「さっきお母さんがいったでしょ!」と怒ったり責めたりしてはいけません。あくまで冷静にかつやさしく「夕ごはんまではなんにもありません」といいます。おそらく子供は駄々をこねるでしょうがこれに負けてはなりません。ここで与えてしまうと子供は大人をなめてしまい親子の関係はなんら改善せずに同じ態度をくり返すだけです。

親はやさしくかつ冷静に対応すればするほどその効果は上がります。感情的に怒ると「なぜ怒られたか」という目的より「しかられた」ことしか覚えていないのです。しっかり確信を持って冷静にいえば「本気なんだな」とわかってもらえるものです。

そして子供はもともと持って生まれた気質(集中力が散漫、おちつきがないなど)といものがあります。ですから、しつけはその子の気質を認めたうえですることがたいせつです。特に「ごはんをおちついて食べる」こともその子の気質に影響されますから、しつけるのが困難な子もいるし容易な子もあるわけです。けっしてほかの子供と比較してはいけませんし、早くからしつけをあきらめてはいけません。困難な子であればそれだけ時間がかかるので忍耐強く長い目で見てやってください。

結果として、子供はおなかがすいていますからおちついて夕ごはんを食べるでしょう。

そして忘れてはならないことは、この原則を継続して実践することです。くり返して初めて子供は学習し身につけていくのです。